空手 | オリンピックの正式種目として、なぜ伝統派が採用されたか?

空手 | オリンピックの正式種目として、なぜ伝統派が採用されたか?

2020年に開催される東京オリンピック。

その正式種目になった空手ですが、

空手の組織、流派は様々です。

今回選ばれたのが、

全日本空手道連盟、加盟団体で、

その傘下の選手に出場の権利があります。

それ以外の組織、団体、流派には、

今回残念な形になってしまいました。

さて、

ここでは大きく分けて、

寸止めとフルコンタクトによる違いが、

どのように印象を受け、

採用の結論に至ったのか推測したいと思います。

また、

ここでは政治的な背景、動向は省きたいと思います。

その為、

少し思惑とは違った方向に進むかも知れませんが、

ご容赦ください。

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寸止による試合形式の空手が生まれた背景

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出典:本部朝基と琉球カラテ 岩井虎伯著(愛隆堂)

本来空手は、護身のための武道で、

万が一、

危機に遭遇したら、その真価を発揮するものです。

しかし、

それは一生に一度あるかないかで、

出来れば刀(自らの拳)は鞘に納めておきたいのですが、

一たび鞘から抜けば、

ピンポイントで相手に攻撃を与える危険なものです。

相手には感じられない最小の動作で、

最大の力が爆発し攻撃される。

一撃必殺、それが空手です。

空手の技のずべてを用いて試合を行うのは不可能です。

まして、

顔面、頭部に直接あてることは危険極まりありません。

その為一般の試合には、身体の操作は同じく、

技を相手の体の一寸手前で止める、

いわゆる『寸止め』が生まれました。

寸止めに異論を唱えた人物、組織が出現

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出典:yahoo.co.jp

一寸の距離があれば、人間は相手の攻撃に対し変化することができる
(避けることができる)。

また、

鍛え上げられた人間は、

人間同士の打撃には耐えられる。

そのような考えに基づいて作られたのが、

極真会館 前館長 大山倍達総裁による

『国際空手道連盟ルール』です。

しかし、

危険を最小限回避するために、

手による顔面への攻撃を禁じ、
それ以外は直接打撃を許しています。
(※禁じ手=「ルールによる反則」はまだありますが)

もともと大山総裁は、剛柔流、松濤館の高段者でした。

その総裁が上述な考えで自ら流派を起こしたのは、

裏付けがあり説得力もあります。

 

もともと普及していたのは、伝統派による寸止め空手

空手は、先人の努力によって、

またそのかいあって世界中に広がりました。

努力もさることながら、その理由の1つに

スポーツ性ということが挙げられると思います。

それが多くの人に支持されたのが大きいでしょう。

スポーツ性というのは、相手の体に直接あてず、

直前で技を止める『寸止め』による試合方法のことです。

相手に当てないということで、

勝敗の明確さに多少の疑問を持つ人もいると思いますが、

安全性を守るという点では、

スポーツしての空手の普及に

最も貢献したといってもよいと思います。

普段、サラリーマンや主婦が道場で、

選手と一緒に直接打撃での練習は、

とてもしんどいものがあります。

さらにアメリカなどは訴訟の国ともいわれて、

多少の怪我でも賠償責任を求められるのが日常です。

そのような環境には、

やはり直接相手の体に当てず、直前で止め、

ポイントを争う形式の伝統派が、

様々な国にマッチしていたのでしょう。

今でこそ極真空手を代表とするフルコンタクト空手も、

海外でも大きな大会を開催し、盛況な様がみられますが、

まだまだ世界の人口からずれば、一部の事であるのが現状です。

例えば、

国内の空手人口は伝統派は100万人とも言われます。

そのうち、

全日本空手道連盟は30~40万人、

日本空手協会は50万人といわれています。

団体によっては、両連盟に属しているところもあり、

もちろんそれ以外の団体もいます。

フルコンタクト空手は、

新極真会が10万人、

極真会館(松井館長)が2万8千人の登録があるとのことです。

その他の団体は調べていないのでわかりませんが、

それを加味しても伝統派のほうが圧倒的に多いとのことです。

また、

極真空手は国内よりむしろ海外のほうが有名で人気がある。

と言ったのは、ある作家の作品中でのことです。

 

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出典:虹をよぶ拳 梶原一騎 つのだじろう 秋田書店

断っておきますが、私は極真空手が好きです。

オリンピックで採用されたのは伝統派ですが

寸止めもフルコンタクト空手も、

相手の一寸手前で止める、

手による顔面攻撃の禁止、

というルール作りは、

危険を最小限に抑えるという意味で、

方法は違いますが、考え方の根底は同じかもしれません。

極真空手に代表される、フルコンタクト空手は、

相手に直接あてるという危険性はありますが、

顔面による手技の攻撃が禁止されています。

しかし他の武道、格闘系スポーツ、

例えば柔道やレスリング、相撲も同様に直接相対するものです。

また、寸止めルールであっても、試合中に止めきれず、

相手の顔面に当たってけがをするケースが多々あります。

完璧なルールなど存在しないというのが結論ですが、

お互いルールの中で切磋琢磨して、

より良い武道、スポーツに

仕上げていくことが大切ではないでしょうか?