【裏拳】空手の試合ではあまり見られない、けれども極めて実践的な技

裏拳とは、手の甲部分を武器とした、空手、拳法など、格闘技、武道、武術で用いられる打ち技のひとつです。
正拳突きなど、至近距離すぎて使えない角度でも、肘のバネや手首の返しで素早く相手を打てるのがメリットです。
裏拳の特徴とは?
出典:yahoo.co.jp
フルコンタクト空手、極真空手では、基本稽古や試し割りでしか見受けられません。試合には一部を除いて裏拳が使用されているのは皆無です。
しかし、顔面ありをルールとするK-1などは、バックハンドブローなどと言われる、裏拳を用いた技も見受けられます。
また、至近距離から顔面を的確に当てるということでは、実践では極めて有効な技であると思います。
フルコンタクト空手の試合ではあまり見られないのは、裏拳は主に顔面に有効であることと、素早く相手の意表を突く技であるので、構えて相対しているときには不向きであるということが言えると思います。
裏拳の使用部位は?
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正拳突きと同じ握りですが、当てる部位は、手の甲と拳に近いの甲部分です。
なお、裏拳の拳頭の前面で真っ直ぐに突く技は、流派によって正拳と裏拳とで区別されます。
極真空手における裏拳の基本稽古
ここでは極真系の道場で行う、裏拳の稽古について取り上げたいと思います。
最初の構えや手の位置などは、若干違う場合もありますが、使用法は概ね一緒です。
ただし、裏拳下突きは、正拳下突きともいわれ微妙に違いが判らないので省きます。
裏拳正面打ち
出典:100万人の空手 大山倍達 東都書房
左右の拳の甲を相手側に向けて、顎または人中あたりで構えます。この時によくある間違いが、小指側を併せてしまうことです。
併せることによって両肘が開いてしまうことがあるので、若干間を空けて左右の前腕が平行になるのがよいです。
相手の顔面(特に人中)をまっすぐに打ち込む場合と、スナップを利かせてやや上からたたく打ち方があります。
裏拳左右打ち
両拳を甲を上にして胸(中丹田、鎖骨、水月の場合もある)の前で合わせ、横にいる相手のこめかみや顔面に向かって、肘を支点にして左右に振るようにして打ちます。
当時(はるかかなた昔)の指導員のひとりは、例えば右の裏拳を放つときに、一旦右手を顎の位置まで上げてから打つような、反動をつけていました。
また、両拳の位置は当時、鎖骨か胸の前あたりで構えていました。
ある日、基本稽古をしている最中、師範が支部長会議から戻ってきました。基本稽古の見直しが議題だったのか、裏拳左右打ちの構えの位置も変わったようでした。
左右打ちを続けていると、師範が私の前にきて、「違う!そうじゃない!」と拳をはたかれビンタを食らわされせました。
何が何だかわからないまま続けていましたが、ビンタが止まりません。終わってからようやく説明されました。
今であれば理不尽であると思いますが、楽しい思い出です。
裏拳脾臓打ち
臍か丹田あたりに右拳を上、左拳を下に、小指の拳頭と人差し指の拳頭を併せるように重ねます。
肘を支点に横にいる相手に向かって裏拳を振ります。相手に掴まれたときにスナップを利かせ、わき腹を打ちます。
何故かわかりませんが、構えも手の位置もよく変わるのが極真です。ここでも水月あたりに構えている私に向って、師範は手をはたき、ビンタの応酬でした。この時は、丹田の位置で両拳を構えることになったみたいです。
裏拳回し打ち
出典:100万人の空手 大山倍達 東都書房
攻撃するほうの拳を腰に近い背中に隠すように構え、外横からスウィングして相手のこめかみや耳の後ろ、側頭部へ打ち込みます。
下突きと同様、正拳回し打ちと呼ぶ流派もあるようですが、取り上げました。。
事実、極真会館でも以前(『100万人の空手』大山倍達 東都書房、『ダイナミック空手』大山倍達 日貿出版社)は、正拳回し打ちと呼んでしました。
大山総裁はこの技を好んで使用してたそうで、弟子たちにも勧めている場面もあります。
竹山晴友氏(第16回全日本準優勝、キックボクシング元日本ミドル級王者)は、極真の大会でこれを多用しています。
裏拳を使用する際のコツとは?
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裏拳で相手を狙うのは、一般的に顎やこめかみと言われていますが、K-1や総合格闘技など、不意打ちのように使用するバックハンドブローは、顔面全体を目標にしています。
裏拳は、最短距離でいかにスピーディーに出すことが大切です。
裏拳には肘のスナップを利かせることが最重要
裏拳の肝(キモ)は、スピードです。それには肘のスナップを十分利かせることが大切です。大振りしないで、濡れタオルを叩くようにコンパクトに打ち込むことを心がけましょう。
また、コンパクトに打つことで、目標をコントロールしやすくなり正確にとらえることができるようになります。
打った手は素早く戻すこと!
相手の意表をつく技は、突きっぱなし、伸ばしっぱなしではいけません。必ず打ち手を戻し、有効打を与えられなかった場合を想定して、次の攻撃に備えなければなりません。
スナップとスピードを意識して、素早く戻しましょう!
裏拳打ちのための体の使い方は?
裏拳を放つときにスナップとスピードを重視するために心掛けたい体の使い方とは、
- 大振りしない、大きな動作をしない
裏拳の意味合いを考えると、とどめや致命傷を与えるものではないので、正確さを重視するためにコンパクトが大切 - 肘を支点として、当てる直前に拳をを固める
スナップやスピードを意識するには、肘を支点として当てる直前にこぶしを握ること
です。
裏拳は、正拳突きとは違って、それ単独で使用するのとは違い、相対し攻防の中での受け返しの組み合わせの中で用いられるものと、不意打ちのように相手に軌道を悟らせず放つものに分かれると思いますが、どちらも共通するのは上述の2点であると思います。
裏拳の試し割りと衝撃の威力!
出典:yahoo.co.jp
空手において試し割は、昔から技の威力をはかるものとして、瓦、板に、自然石、氷、瓶等、色々なもので試されてきました。
ただ、その使用部位は、正拳や手刀、猿臂、足によるものがほとんどでした。
しかし、学生時に衝撃が走るほどの試し割りを見かけました。何と!裏拳でビール瓶の土手っ腹をそいだ方がいました。
恐らくこれが、後に裏拳での試し割りは色々な形で、その威力、パフォーマンスを競い合うようになったと思います。
『空手 試割の極意!裏拳 衝撃の威力は必見! Karate Uraken Tameshiwari』
(気ままにチャレンジ)
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